本ガイドラインでは,疾患や手術(処置)のリスクレベルを低リスク,中リスク,高リスク,最高リスクの4段階に分類し,各々に対応する予防法を推奨した(表1)。対象患者の最終的なリスクレベルは,疾患や手術(処置)そのもののリスクの強さに,付加的な危険因子(表2)を加味して,総合的にリスクの程度を決定する。例えば,強い付加的な危険因子をもつ場合には,それだけでリスクレベルを一段階上げるべきであり,弱い危険因子の場合でも複数個重なればリスクレベルを上げることを考慮する。また,経過中においては,患者の状態の変化に応じてリスクレベルの評価も柔軟に変更しなければならない。
最高リスクにおいては抗凝固療法を積極的に推奨している。しかし,出血のリスクが高い場合には理学的予防法のみでの予防も考慮する。
いずれの予防法の施行時にも,予防法施行による合併症について十分に説明する。特に,抗凝固療法を行う場合は,出血に伴う合併症についてインフォームド・コンセントを得る必要がある。
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